水島弘史の料理教室に行ってきました。包丁トレーニングコース。あっという間の3時間でした。
最初に講義があり、それから実習になります。講義が1時間ほど。
最初にスライサーでおろした人参と、包丁でカットした人参の、切り口を観察しました。包丁で切った方は水分が出ておらず、切り口がスベスベでした。
大根やカボチャなど、他の野菜も先生に切って頂き、その切り口を目で見たり、指で触ってみたりしましたが、自分の普段の野菜の切り口と違うことが、ハッキリ分かりました。
どの切り方が良い・悪いということはなく、その料理の目的に合わせた切り方にすることが、大切なのだとおっしゃてました。
例えば、一番最初に先生がスライサーでおろした人参は、切り口がデコボコで、水分がにじみ出ていたのですが、キャロットラペを作る時の切り方だそうです。
これはすぐにお客さんに提供する料理なので、ドレッシングに馴染みよく、風味良くする目的で、こんな切り方にするそうです。
でもこのキャロットラペを、包丁でスライスするお店があるのだそうです。
料理において、切り方というのは大きなポイントだそうです。
切り方の基本は、刃先を前へ進めることだそうですが、引き切りや削ぎ切りについても解説して下さいました。
参加者の中に、常連さんが1名いらっしゃいまして、その方は講義は受けずに、ひたすら野菜のカットをしていました。キャベツを超極細の千切りにされていましたが、私達の講義や実習の合間に、先生に質問したり、見てもらったり、桂剥きの剥き方を教わったりもしていました。包丁の扱いは非常に奥深く、何回も通わないといけなさそうです。でも想像以上に楽しかったので、これからも絶対に通います。
包丁研ぎについては、難しいので1年に1回、その包丁を作った職人さんに研いでもらうのが一番だそうです。でも砥石を使った研ぎ方のデモンストレーションもしてくれました。
私は話を聞いて、包丁研ぎはしなくていいかと思いました。間違った包丁研ぎで、かえって切れにくくなることもあるそうです。また、研ぎ師の誰もが上手に研げる訳ではなく、研いでもらって3ヶ月くらいで切れにくくなるなら、違う所に出した方が良いそうです。
でも料理というと、この包丁研ぎにこだわってしまう方々が少なからずいらっしゃるそうで、特に男性に多いそうです。
私は近くのスーパーで、年に1、2回開催される、包丁メーカーの包丁研ぎサービスを利用していましたのですが、引っ越し後は近くのスーパーにはそういう催しがなく、ここ2、3年、一度も研いでもらっていません。

今回は写真でなくメモを取っていましたが、カボチャの切り方の説明の時、生徒さんの一人が「写真を撮ってもいいですか?」と聞いて、先生の了解を取ったので、私も便乗して1枚撮影しました。
それがこのシュールな写真です。これは最初にカボチャを切る時の包丁の位置が示されています。
このカボチャ切りにも快感を覚えました。カボチャは切る時に手が痛くなるので、小さな坊ちゃんカボチャを買ってましたが、今年の冬は、大きめのものを買ってみようと思います。
さて、講義が終わると実習に移ります。この時先生が、生徒一人一人の包丁の持ち方、切り方を見ながら、各自に一番合った調理台の高さを教えてくれます。参加して一番良かったのがこれです。
私の番になると先生は、「少し低い方がいいかな?」と、板(高さ1.5cm)を調整して低めの台をもう1つ作ってくれました。
「どっちの台が切りやすいですか?」と聞かれ、「・・・前の方がいいです。」と答え、最初の台で野菜を切ってました。
すると先生に指摘されるまで気づかなかったのですが、私の脇が少しずつ開いていきました。そこで低い台に戻り、改めて野菜を切ってみると「あっ、こっちの方が良かったです。」
確かに低くした方が切りやすいことを実感しました。先生の見立ては間違っていなかった、というお話でした。
ちなみに、手足の長さも関係してくるそうなので、身長だけで台の高さは決められないそうです。
また合う包丁も、個人差があるそうです。実習の途中、先生が別の包丁を渡してくれて、急に楽に切れるようになりました。私には歯幅がある包丁が合うみたいです。
先生の本は読みやすく、料理教室に参加しなくても自宅でできることは色々ありますが、生徒一人一人の姿勢や動作を細かくチェックして、合う包丁や、調理台の高さまで教えてくれるこの教室、お値打ちだと思います。
先生が生徒さんを観察しながら、丁度良い調理台の高さを決めていくところを見てましたが、どこを見て、そう判断しているのか、私にはさっぱりわかりませんでした。先生の確かな目と少人数制のおかげです。
そんなこんなで、教室はあっという間に終わってしまいましたが、この料理教室を表現するのに、ぴったりだと思った先生のお話があります。正確には覚えていませんが、
「料理研究家の人たちの中には、カボチャが固いなら、電子レンジを使いましょうって言う人がいるけど、固くなる(固く感じる)原因を、説明してあげた方がいいと思わない?」
ここは対処療法でなく、原理原則をきっちり教えてくれます。だから生徒は深く理解ができて、丸暗記が少なくて、応用力が付きます。料理に限らず、基本的な事柄を論理的にしっかり教えられる先生は少数派です。
自分の経験は話せても、その原因や理由を(よく分かってないから)説明できず、経験や知識を披露して終わってしまいます。生徒の方は、そういうものだと、丸暗記するしかありません。
もし先生の本を読んで「これだ!」と思った方は、料理教室にも参加されると良いですよ。
予約を取るのが大変ですが。特に初めての方。今回最初の人が受けないといけない、Aコースの予約もしたのですが、入れ違いで満席になって、断念しました。でも2日連続だったら、内容をちゃんと消化しきれなかったかもしれません。今回は包丁トレーニングだけで頭がいっぱいになってしまいました。
次回Aコースを予約する時は包丁トレーニングも一緒に予約するつもりです。それまでは毎日、自宅で包丁トレーニングの実習です。
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